「あなたが壊れた時、会社はなにもしてくれません」
毎日毎日定時を過ぎてタイムカードを押し、たまった仕事をこなす日々。
サービス残業を毎日5時間しても仕事は終わることはありません。
そんな日々を過ごす中で、年配の先輩に言われた言葉で、今でも心に残っています。
そして実際に鬱、精神障害を患った時、この言葉を思い出しました。
もちろん病院にも行っていないので、鬱だという診断書もありません。
しかし、もし病院に行って鬱だという診断をされて退職なり休職をするとしても、その診断書は使うことはなかったでしょう。
鬱だということを黙って退職をする、同じ結果になっていたことと思います。
今回は鬱病だと分かった時会社はどのような対応をしてくれるのかについて考えていきたいと思います。
会社はなにもしてくれません
大前提として覚えておいてほしいのが会社はなにもしてくれません。
それもそのはず、会社としての就業規則もなければ、鬱になったときの対応というマニュアルもありません。
その一方で会社を辞めよう、転職をしようと考える理由について会社に伝える理由の多くが
・結婚、家庭の事情
であることを記事にしました。
結婚を機に退職、家業を継がなければいけない、介護をしなくてはいけないなどどうしても仕事を辞めなければならないような理由を付けて退職します。
その一方で本当の退職理由としては人間関係が一位に来ていることから、みんな退職する際は本当のことは黙って退職していることが判断できます。
それもそのはず、たとえ鬱になり退職する時であっても会社に
「鬱になりまして…」というのは言えるはずがありません。
鬱=甘え。鬱=心が弱い。というイメージがある世の中です。退職するときにあの人鬱になったんだって…などと噂を立てられたくはありません。
私自身もそうでした。鬱になり仕事を辞めた身ですが、その私も退職するときの理由としては転職することを決めたからだと嘘をつきました。
鬱になっても本当のことを言えない、言わない。それゆえに鬱になって辞めたときの事例も少ないためにマニュアルさえも作られることはありません。
会社としても鬱で退職する人に対しての対応策やしてあげられることがないというのが現状でもあるのです。
それでも鬱になった場合
退職を考える前にまずはほかに手段がないのかということを考えましょう。
会社に勤めたまま、ほかの部署に転勤したり、異動であったり。その他に休職という道ももしかしたらあるかもしれません。
通常仕事を辞めて会社を退職した場合失業手当をもらうことができますが、休職した場合にもらえる傷病手当と比較してみると、傷病手当金の金額の方が上回るからです。
まずは診断書をもらいに病院に行きましょう。
病院に行って、うつ病だという事が診断されると、数週間から数か月は休むようにと診断を受けることがあります。その際に診断内容を診断書として明記してもらい、休職する際に提出します。
まだ鬱病が認知はされているものの世間にまで浸透していないのが実情です。会社によって就業規則で定められていない場合もあるかもしれませんが、何もせずに辞めてしまうよりも、休職という形で仕事を休めないか。あるいは有給を使って長期休養をとれないか会社に相談してみましょう。
もしそれでも会社がとりあってくれないのであれば、そんな会社こちらから願い下げです。上述の通り会社は何もしてくれませんが、ダメもとで当たってみるのも1つの選択肢だと私は考えます。
鬱でも働くことができるか?
鬱病の症状を抱えていても仕事ができるのかどうかですが、これはなかなか一概に言えるものではないです。自分が鬱をどう認識しているかで変わってくると思います。
・鬱の疑いがあるかな思っている人
仕事のストレスが度重なり最近調子が悪い。心が重いような感じがする。仕事のストレスからくる仕事の不調は鬱の可能性がかなり高いです。その時点で休むか治療を受ければ回復も早いと思いますが、なかなか休めませんよね。そのまま鬱だということを自覚せずに働いていると、さらに鬱病は悪化していきます。今、ちょっとだけ調子が悪いだけ、いずれは回復するだろうと思い、仕事を続けていると症状はよくなるどころかどんどん悪い方向に進んでいってしまいます。この場合は本来ならば仕事を休むべきですが、そのまま仕事をしてしまうケースが多いです。
・鬱病だと診断、自覚した場合
病院に行って鬱病だと診断された場合はすぐさま診断書を会社に提出して休職を願い出ましょう。またネットや自分で調べてみて鬱だということを自覚し、自分は鬱だということを認めることができたのであれば、その対応もできるはずです。その時の鬱の症状に応じて仕事がまだ続けられるのか、それとも治療に専念するべきなのか判断をしていきましょう。ただ鬱のまま働くと決めた時に知っておいてほしいのが、脳の機能の低下です。
・行動力
・記憶力
・決断力
・コミュニケーション能力
・やる気
これらは仕事をするにあたって必要な能力ですが、鬱になる前と比べて格段に落ちています。仕事の効率も以前よりも落ち、確認不足が増えたり、発注を間違えたり、納期に間に合わなかったり、という仕事のミスが増えてしまいます。せっかく鬱を患いながらも仕事をがんばろうと思っている矢先にこのようなことが連発してしまうと、再び自己嫌悪にも陥ってしまいます。
鬱病のせいで働く能力が落ちているということを認識しましょう。
鬱病後の社会復帰に関して
休職中に仕事上のストレスから解放され、治療に専念することができれば症状は回復に向かっていきます。また鬱病だということを自覚しているのであれば仕事をしていながらも回復していきます。
ここで大切なことは
・鬱病になった=仕事復帰ができない
・鬱病になった=以前のように仕事ができない
は間違っているということです。鬱になった後も社会復帰はできます。鬱になってもいつも通りに働ける日は来ます。
もちろんそれは自分が鬱だということを自覚しているのであればです。
あの時どうして失敗したのか。そしてなぜ自分を責めるようになったのか。
仕事上のミスや、順風満帆な人生に突如として訪れる不幸。今まではうまくいっていたのになぜ…。ある日から自分を責めるようになり、自信はどんどんなくなっていきます。そして鬱病になり、体が言うことをきかなくなってしまいます。
このまま自分はなにもできないのかと暗い気持ちになってしまいます。
しかしそこで自分は鬱だということを本当の意味で自覚するのです。
自分は鬱になってしまったんだ。心の底から思ってください。いや、自覚することがあります。
鬱になったから何もできないのではなく、鬱の自分でもできることを1つ1つ確実にこなしてください。ここで大切なことは自分にしかできないことではなく、自分でもできることをやることです。
・朝起きて家族に挨拶をする
・出勤前には顔を洗う
・帰ったら手を洗う
え、誰でもできるだろうそんなこと?
いえいえそんなことでも鬱になるとできなくなるんです。そんなことだと思ったことを確実にこなすことが自信を取り戻すきっかけになります。
家でできることが増えたら次は会社で、仕事でできることを増やしましょう。
・タイムカードを切るのを忘れない
・発注をこなしたら自分でメモを付ける
・出勤したら従業員みんなに挨拶をする
どんな些細なことでもいいんです。1つ1つできることを増やして自分に自信を取り戻してあげてください。その時に自分の心の中で
「…できたすごい!」
と言ってあげてください。
鬱になると本当に何もできなくなります。ごはんを食べることも外出することもまともに人と話すことも。それほど怖い病気でもあります。
そして何もできない自分に対して、このままずっとこの状況が続いてしまうのではないかという恐怖心を抱いてしまいます。
大丈夫です。
あなたならきっと再び社会に出てバリバリ働くことができます。
合言葉は「…できたすごい!」
心の中で念じてくださいね。
鬱の再発
「…できたすごい!」
が1つ、また1つと増えていき、社会復帰もできるようになりました。前と同じレベルで働くことができる。そう感じたときに再びミスをしてしまうと、心の中にまたあの暗いトンネルができてしまいます。
鬱病は非常に再発性の高い病気です。職場復帰や以前と同様までに働けると実感できた時こそ、また鬱に引きづりこまれないように注意してください。
しかし一度鬱病を克服したあなたですからもう大丈夫です。鬱になる方法を知っていれば鬱を治す方法も知っているはずです。
私も鬱を克服して今、仕事でうまいようにいかない時は鬱のような症状がでることがあります。そういう時は鬱になる準備段階である「…だから~しなくてはいけない」という状態に陥っていることを自分自身が警鐘を鳴らしているんだと思っています。
また理想が高くなっているぞー!とあの時の自分がそう教えてくれているんだと思い、しっかり今の自分を見つめなおすようにしています。
鬱は怖い病気でもあります。しかし一度克服してしまえば、鬱は自分自身を守ってくれる心の中の相棒のように今は感じています。
まとめ
もし鬱になってしまっても会社は本当に動いてくれません。
自分から動くしか道はないのです。
そして休職するにしても、鬱のまま働くにしても、鬱だから…と自分をあきらめないでください。
きっとよくなります!
大切な言葉は「…できたすごい!」ですよ。
再び社会に出て、バリバリ働くあなたを私は応援しています。